アジャイル UX デザイン

スクラム開発とは?UX・UI デザインにアジャイル開発やスクラムを適用するためのベストプラクティス

読み取り時間 : 約7分

トピック :

  • アジャイル・プロジェクト計画
  • カスタマーエクスペリエンス (CX)

これまでの UX デザインは、調査、アイデア出し、プロトタイプ作成、ユーザーテスト、反復と繰り返しといった線形のプロセスに沿って進められてきました。こうすることで、必要なインプットをもれなく組み込み、デザインプロセスのあらゆる段階を通してユーザーを考慮することができたためです。 

これに対して、製品開発やエンジニアリングチームでは柔軟性の高いアジャイルプロセスが導入されてきました。カンバンやスクラムといった手法で反復的なコラボレーションを通じて製品を生み出すもので、小規模な「スプリント」を通じて、製品をスピーディかつ柔軟、大規模に提供するプロセスです。最適化はこのプロセスの後で行います。 

最高の製品やソリューションを生み出す上で、UX デザインチームと製品開発チームのコラボレーションが重要なことは明らかですが、アジャイル度の高いチームとプロセス重視型チームとの違いをどのように埋めていけばよいでしょうか? 

この記事では、UX デザインにスクラム開発を適用する上でのベストプラクティスをいくつか紹介していきますが、まずアジャイル UX とは何か、そして最も一般的なその方法論について確認してみましょう。

アジャイル開発と UXデザインの関係

アジャイル開発とUXデザインは、どちらもユーザー中心のアプローチを取り、柔軟かつ反復的に改善を重ねる点で共通していますが、それぞれ異なる目的と方法論を持っています。アジャイル開発は、ソフトウェアや製品を迅速に、効率的に開発するためのプロセスであり、UXデザインは、ユーザーの使いやすさや体験を最適化するためのデザイン手法です。アジャイル開発とUXデザインは、連携することでより効果的な製品やサービスを生み出すことができます。

アジャイル開発はUXデザインプロセスのプロジェクト管理を含め、大規模なタスクを共同で進める必要がある他の分野にも拡大しています。さらに、作業とコラボレーションのしっかりとした基盤を築くため、カンバンとスクラムの2つの手法が広く使われています。 

カンバン手法

カンバンとは「フロー (流れ)」に注目したもので、「進行中」の状態に停滞するものがないよう、リアルタイムで変更を実践していく視覚的なプロセスを指します。カンバンボードを使うことで、各自にロールが固定されていないチームでも、画面にカード形式で整理されたタスクを確認できるようになります。優先順位が時間単位で変わるにつれ、カードも列から列へと移動し、準備が完了次第アップデートがリリースされていきます。一貫して流れ込んでくる、優先順位やスコープの異なるリクエストを管理できるようになる点がカンバン方式のメリットです。

スクラム手法

スクラムでは前述のフローよりも短期間の「スプリント」が重視されます。「スクラム」という言葉からはスポーツが浮かびますが、ある意味そのとおりでラグビーの試合のように、スクラム手法を取り入れるチームは力を合わせてプロジェクトに取り組みます。作業開始前に直近のタスクを対象としたスクラム計画ミーティングを行い、作業完了時にレビューミーティングで振り返りを行います。ロールと作業のスコープをあらゆる局面で明確に定義できる構造がスクラムの強みといえます。 

スクラム開発を使ったUXデザインプロセスを採用するメリット

UX デザインでは設計図、アイデア、レイアウト、フローやインタラクティブ性を重視しますが、UX チームと DevOpsチームの目標は同じものであり、どちらも相互のプロセスから学び合うことができます。 

過去のソフトウェア開発は、バージョンベースで動いてきました。クラウドの普及に従い、ソフトウェアをサービスとして提供できるようになり、開発チームもデザインチームも製品を継続的かつ柔軟にアップデートして、常に最高のユーザーエクスペリエンスを届けることが可能となりました。 

継続的なアップデートが可能となった現在、UX チームにはユーザーエクスペリエンスとスピードのバランスを取ることが迫られるようになりました。UX の最適化にとって最も重要な機能のロールアウトはどれか、意図的なデザインを継続的に実現するためにはどうすべきかなどを検討する必要が生じたのです。 

スクラムツールを使ったアジャイル UX プロセスを採用することで、以下のようなメリットが得られます。

継続的な反復と改善

あらゆる UX プロジェクトにおいて、ユーザーエクスペリエンスは常に最優先事項です。ただ、ユーザー像、製品の使い方や製品に期待する機能は時間と共に変化するものです。UX デザインにアジャイルなアプローチをとることで、製品を継続的に改善することができます。 

価値の最大化とムダの最小化

顧客満足度を向上させつつ、制作にかかる時間を短縮するという最終目標を達成するには、スクラム、カンバン、アジャイル UX などの方法論にこだわりすぎず、価値の最大化とムダの最小化というゴールに集中することがポイントです。業界やチームに合いそうな方法論を選び、ニーズに沿って調整していきましょう。

ロールアウトの見積りの改善

新製品のリリースを管理可能な部分ごとに絶えず行っていく手法のため、担当の部分やパッチの提供が開始されるタイミングを正確に見積もれるようになり、信頼性の高いロールアウトと製品の継続的な改善を実現できます。 

リスクの低減

一貫してテストを行うことで、労働集約的で費用のかかるコーディングの開始前に概念を証明することができます。これを行わないと、問題が発生し、時間や予算の浪費につながる可能性があります。発売時に欠陥のある製品を抱えることにもなりかねません。

UX デザインプロセスに スクラム開発を使う方法

UXデザインは、ユーザーの視点から物事を考え、共感をもって設計を進めることが重要です。スクラムを使ったUXデザインも同様に、チームメンバーの視点からタスクを細かく分け、進めていく手法です。ここでは、スクラムをUXデザインプロセスに取り入れるためのステップを紹介します。

1. デザイン思考ワークショップを開催する

デザイン思考は、ユーザーや製品に関する理解を深め、無駄を省くために欠かせないプロセスです。このデザイン思考ワークショップでは、UXデザイナー、開発者、マーケティング担当者などが集まり、製品の目指すべき方向性を確認します。リサーチを元に問題解決策を出し合い、最初から正しいターゲットユーザーを明確にします。オンラインホワイトボードを使うと、アイデアをチーム全員で視覚的に整理しやすくなります。

2. 実用最小限の製品 (MVP) を決定する

目標が定まったら、最初に作るべき「実用最小限の製品 (MVP)」を決めます。MVPは、機能が最低限整っていて、ユーザーの問題を解決するために必要不可欠な部分だけを含む製品です。これにより、無駄な議論を避け、最初に必要な機能に集中することができます。

3. デザインスプリントと開発スプリントを調整する

スクラム開発の特徴は「スプリント」です。スプリントは短期間で集中して作業し、終了後に振り返りを行います。UXデザインでも同じようにスプリントを設け、デザインと開発の進行を同期させます。ツール(例:Lucidchartのカンバンボードやスクラムボード)を使えば、タスクの進捗を可視化し、次に進むべき方向を決めやすくなります。

4. コミュニケーションを大切にする

スクラムの成功には、チーム全員のコミュニケーションが欠かせません。メンバー同士で頻繁に確認し合い、問題があればすぐに対応することが大切です。スクラムマネージャーは、メンバーが気軽に質問できるように近くでサポートします。UXデザイナーも、デザインが他のメンバーにきちんと伝わっているか確認し、スムーズな進行を支援します。


UXデザインにスクラムを取り入れるには少し時間がかかるかもしれませんが、ユーザーの視点を重視しながらチームで協力することで、より良い製品を効率的に作り上げることができます。全員が同じ目標を持ち、協力して進むことで、すべてがうまく回りだします。

ユーザーアンケート

カンバンボードテンプレートを活用することで、優先順位やスコープが異なるリクエストを一貫して管理できるというカンバン方式のメリットを最大限に活用できます。

カンバンボードのテンプレートをUXデザインに取り入れてみる

Lucidspark について

クラウドベースのバーチャルホワイトボード、Lucidspark は、Lucid Software のビジュアルコラボレーションスイートのコアコンポーネントで、チームが集まり、ブレインストーミング、共同編集、グループでまとめた思考を実行可能な次のステップに統合するための作業をすべてリアルタイムで行える最先端のデジタルキャンバスです。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucidspark.com を参照してください。

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